パン作りで重要な作業の一つは「こね」(ミキシング)だと思っています。
そう思うようになったのは、辻製菓専門学校の製パン技術講座で実際にこねあがった生地を見てからです。
こねることでグルテンが作られ、このグルテンがイースト菌の発酵によって出たガスを、しっかり溜め込み、パンとして形になります。
引っ張った生地の後ろから、自分の指が透けるぐらい、滑らかで弾力のある生地作りを目指します。
パン作りを成功に導く重要ポイントの一つ、「こね」
昔は、レシピ通りの時間にならうか、ホームベーカリーにお任せでパンを作っていました。
辻製菓専門学校の製パン技術講座を受講してからは、こねた後は必ず生地チェックしています。
しっかり「こね」て作られたパンは、これまで自分が作っていたパンとは比べ物にならないくらい、美味しい。
製パンの工程で、重要なポイントは2つあると思っています。
- いかに生地をしっかりこねれるか
- いかに最適な発酵状態でオーブンに入れられるか
見た目でパンに影響するのは、2. の発酵状態だと思うのですが、生地のきめ細やかさや日持ちといった、パッと見ではあまりわからないけれど、
良いパンとなる鍵は「こね」にある!
と最近では考えています。
ニーダー(こね機)を買った時の話(シンガポールの気温と湿度はパン作りに最適 & ニーダーは優秀)でも、「こね」(ミキシング)について少し触れましたが、もう少し具体的に解説します。
「こね」(ミキシング)と見極め
パン作りと言えば、生地を叩いて伸ばしてストレス発散!
が、イメージかもしれませんが、なぜそんなにこねるのでしょう。
パンがパンの形になるには、グルテンが存在するお陰です。
発酵で発生したガスが、グルテンの膜で覆われて風船の様に膨らむことで、パンに形ができます。
つまり、グルテンはパンの骨格で、この骨格を作るために、「こね」が必要という訳なのです。
小麦粉の中にはグルテニンとグリアジンという、2種類のタンパク質が含まれています。このタンパク質に水を加え「こねる」事で、その2つが結合し、グルテンとなります。
バターなどの油脂はグルテン形成の妨げになるので、油脂配合量が粉の10%を超えるパンを作る時には、グルテンの初期の形成が済んだ、「こね」の途中から油脂を加えます。(バターロールなど)
最終的には、滑らかで粘りと弾力のある生地を目指します。
目安は、
状態です。
しっかりグルテンが形成されたパンは、膨らみが良く、焼き上がったパンの内側は柔らかく、すぐ硬くなったりしません。手作りパン、出来立ては美味しいけど、1日経ったらちょっと硬くなっちゃって・・と思っている方がいたら、「こね」をもう少し頑張ってみませんか?
グルテンについては、「こね」だけでなく発酵の過程でも作られるので、全てのパンで同じこね方をするということではありません。
また、ミキシングという単語ですが、パン屋さんでは大型のミキサー(こね機)を使って生地をこねます。ミキサーを使って「こね」る場合には、「ミキシング」です。
シンガポールでパン作りに使っている材料
シンガポールに来て、まだ数回しかパンを焼いていません。
なので、材料の吟味などは出来ていませんが、今のところ、これらの材料を使って朝食用のパンを焼いて、食べています。(1シンガポールドル80円で計算しています)
強力粉
Prima Bread Flour 1K S$2.9(232円)
Bake Kingというメーカーの強力粉も良く見かけるので、次はこちらを試してみます。
砂糖
FairPrice Pure Cane Sugar 1K S$1.35(108円)
さとうきびが原料のグラニュー糖
実は、海外で砂糖と言えばグラニュー糖。
日本でよく使う上白糖は海外ではほとんど見かけません。日本生まれのパン(アンパンなど)は上白糖と相性がいいですが、それ以外のパンはグラニュー糖を使います。
塩
Pagoda Pure Cooking Sea Salt 1K S$2.95(236円)
バター
SCS Pure Creamery Butter Block – Unsalted 227g S$5.15(412円)
シンガポールとマレーシアでNo.1となっていたので買ってみました。
フランス産の発酵バターも手に入ります。
ショートニング
Crisco 453g S$5.8(464円)
トランス脂肪酸ゼロのショートニング
スキムミルク
RedMan’s Skim Milk Powder 200g S$3.55(284円)
ショートニングとスキムミルクはRedMan(製菓材料店)、それ以外はFair Price(近所のローカルスーパー)で購入しています。
イースト
日本で使っていた、インスタントドライイーストの「赤サフ」を引き続き使っています。
保存は冷凍庫で。水分は含んでいないので、冷凍しても状態に変わりはありません。冷蔵庫から出してすぐに使います。)
赤サフについてはこちら → インスタントドライイーストは冷凍保存も可能です
パン作りのその他の注意ポイント
パン作りはお菓子作りより、ちょっと難しい所があると思います。
各工程の生地状態の見極めに、経験が必要だからです。
いつもより水温が低いと、レシピ通りの時間ではきっと発酵が足り無いでしょう。乾燥の季節には、パンがちょっと硬く出来上がるかもしれません。
そんなことで、パン作りの工程には、ミキシング以外の失敗ポイントが沢山あります。
私はいつもこんなことを気にして、パン作りをしています。(最低限の範囲ではありますが・・)
・初めて使うイーストの時は説明書を確認する
・室温と湿度を確認し、いつも同じこね上がりになるよう、材料を微調整する
・発酵状態を正しく見極める
パン作りは、一度うまく行っても、次また成功するとは限りません。
生地の「こね」と発酵状態は、時間では無く常に目と手で確認です。
(ホームベーカリーなら気にする必要はありません。日本のホームベーカリーってやっぱりすごいわ〜)
パン作りで重要な要素:
イースト → インスタントドライイーストは冷凍保存も可能です
こね その1 → シンガポールの気温と湿度はパン作りに最適 & ニーダーは優秀
発酵 → 手作りバターロールを翌日も美味しく食べたい 発酵の話
焼成 → オーブンのクセを習得! 「焼成」がパン作り最後のポイントです