「グルテン」は摂取しない方がいいのでしょうか。
「グルテンフリー」の言葉を良く聞きますが、グルテン自体は悪者ではありません。
ただ、グルテンが体に合わない人が一定数いて、そんな人は、「グルテンフリー」を実行することで、体調を整えていくことが出来るそうです。
グルテンとは
小麦粉の中にはグルテニンとグリアジンという、2種類のタンパク質が含まれています。
このタンパク質に水を加え「こねる」事で、その2つが結合し、「グルテン」となります。
グルテンは、ネバネバ、モチモチとした感触で、粘性や弾性を持っています。
パンの製造工程では、発酵により発生したガスが、グルテン膜で覆われて、風船の様に膨らむことで、パンに形ができます。
つまり、パンを作るには、欠かせないものです。
他にも、グルテンは、ヴィーガン(肉・魚・乳製品などを食べない)食の人にとっての、肉の代用品として、食べられていたりします。
グルテンフリーって
パンには「グルテン」が必須ですが、その一方で、「グルテンフリー」と言う言葉も聞くことがあります。
「グルテンが入っていない」の意味ですが、どうしてグルテンが入っていないことをうたった食品が出回っているのでしょう。
グルテン自体は、害があるようなものではありません。
ただ、グルテンが体に合わない人が一定数いるのです。
体に合わない原因は、3つあります。
- グルテン不耐症
- セリアック病
- 小麦アレルギー
- グルテン不耐性
グルテンを消化し辛い体質 - セリアック病
小腸に炎症のおこる自己免疫疾患
小麦粉食が多い北欧・欧米系で、発症が多いといわれています。
(欧米ではセリアック病の人の割合は人口の1%とされているそうです。参考)
このれらの体質を持つ人は、グルテンを摂取すると、下痢や全身の倦怠感を伴う症状が現れるそう。 - 小麦アレルギー
他の食物アレルギー同様、摂取後すぐにアレルギー症状(蕁麻疹、かゆみや下痢、腹痛、呼吸困難など)が現れます。
これらの体質を持つ人は、グルテンを摂取しないことが望ましいとして、「グルテンフリー」の食べ物が出てくるようになりました。
グルテンを含む食べ物
前述したように、小麦粉を使った料理にはグルテンが含まれます。
パン・ラーメン・パスタ・うどん・素麺・ピザ・餃子の皮・天ぷら・トンカツ・カレーやシチュー、ケーキやクッキー・・いくらでも出てきますね。
これらを、小麦粉では無く米粉で代用したりして、グルテンフリーを実現するわけです。
パンは小麦粉から米粉へ、ラーメンはフォーや春雨などへ、うどんでは無く蕎麦を選ぶ・・と言った具合です。
小麦粉は、タンパク質の含有量で種類分けされています。
下へ行くほど、タンパク質の含有量が増えていきます。
小麦粉の種類 |
タンパク質量 |
製品 |
薄力粉 |
6.5~9.0% |
ケーキ・クッキー |
中力粉 |
7.5~10.5% |
うどん |
準強力粉 |
10.5~12.5% |
フランスパン |
強力粉 |
11.5~13.0% |
食パン・菓子パン |
デュラムセモリナ粉 |
13% |
パスタ |
タンパク質の量が多ければ多いほど、グルテンがしっかり出来上がります。
グルテン不耐性のケースなどは、グルテンの多い少ないを知って、食べるものをコントロールするだけでも効果があるのかも知れません。
もう一つ注意するとすれば、一見小麦粉を使っていなさそうだけれども、実は使っている食べ物です。
蕎麦は全て大丈夫ではなく、繋ぎに小麦粉を使っているかいないかの確認まで必要です。
ライ麦パンも、蕎麦同様、膨らませるために小麦粉を混ぜていることがほとんどなので、ライ麦にグルテンが含まれていなくとも、注意が必要です。
小麦アレルギーの場合
注意が必要なのは、小麦アレルギーです。
小麦アレルギーの場合は、小麦に含まれるタンパク質に反応しているそうで、小麦に含まれるタンパク質が、グルテンを形成する「グルテニン」と「グリアジン」だけでは無いからです。
例えば、小麦粉には、この二つのタンパク質以外に、水溶性の「アルブミン」や「グロブリン」も含まれています。
このどちらかに反応する小麦アレルギーの場合は、小麦を原料とするヴィーガン食を食べることが出来るわけです。
ビールの原料大麦もグルテンでは無いものの、タンパク質を含んでいるので、アレルギーがある場合は避ける必要があるようです。(麦焼酎も)
食の欧米化が進んでいる日本で、「グルテンフリー」を気にする人が多くなっているのも、自然なことなのかも知れません。