シンガポールでは、旧正月の準備が始まっています。
今年のシンガポールの旧正月は2月12日、13日。
コロナ禍ということもあり、例年に比べるとやや控えめな旧正月なのかしら?と思いますが、明らかに街の中では、飾り付けが進んでいます。
その中でも、パイナップルとオレンジは気になる果物のトップです。何故こんなに街中に溢れているのか?
また、旧正月を前に、政府から改めて、過ごし方について注意が出ています。
パイナップルの意味すること
製菓材料店で、大量のパイナップル餡が売られてたんです。

シンガポールの人、そんなにパイナップルタルト食べるんだ。
お土産物屋にも必ずあるしね。
と思っていたら、近所のホーカー(屋台街)の飾り付けまでもパイナップルに!
どうらや、シンガポールの人はパイナップルタルトが大好き・・ということだけではなさそうです。
パイナップルの飾り物が増加中
早速調べてみると、パイナップルは中国の福建語で「オンライ」(Ong Lai)と発音し、その音が「富がやって来る」と同じだそう。
旧正月に限らず、普段からパイナップルは縁起の良いものとして、扱われているのでした。
その中でも、旧正月前に大量に市場に出て来るのが「パイナップルタルト」。
縁起の良いパイナップルを使ったタルトは、旧正月には必須らしいです。
(これが、製菓材料店に大量にパイナップル餡があった理由ですね。)
これまで食べたパイナップルタルトで美味しかったのは、トラディショナルなタイプではないのかもしれませんが、リトルインディアが本店のLE CAFE。
(Photo : LE CAFE HP)
ここのパイナップルタルトはまた食べたい。外側の生地がデリケートで、日本へのお土産にするにはハードルの高い一品ですが。
馴染みがあるのは、Bengawan Solo(ブンガワンソロ)のパイナップルタルトでしょうか。お土産にもぴったりの、甘すぎず、食べやすいタルトです。(賞味期限も長いです。)
シンガポールの人にとっては、お母さんが作ってくれたタルトを超えるものはない・・と思うぐらい、子供の頃の記憶として刷り込まれている物だったりするようです。
新居に入る時にもパイナップル
パイナップルには、また別な縁起担ぎでの使い方がありました。
シンガポールでは、新居に引越しをする時には、パイナップルを使って必ず行うことがあるらしいです。
それは、パイナップルを家の入り口から家の中に向かって転がす!
そうすることで、幸運と繁栄を新しい家にもたらすと、考えてられているのですって。
パイナップルは縁起ものとの考えは、中国が起源ですが、年月が経つにつれその国独自の文化として変遷し、育ったということなのですね。
オレンジの意味すること
もう一つ、やたら目に付く果物とは、「オレンジ」。
先々週ぐらいから、スーパーの前面に大量のオレンジが箱売りされているのです。
箱みかんは日本の専売特許かと思っていましたが、どうやら違うみたいです。
その脇には、小袋も売られていたりして・・

これまた謎。何?
シンガポールの旧正月の風習
オレンジは、旧正月のお宅訪問で持参するものでした。
オレンジがおめでたいと考えられている理由は、こんなことです。
- オレンジの黄色くて丸い形状が、金の塊を連想させ、オメデタイ
- 中国、北京語のマンダリンオレンジは「桔子」JuZiと言い、Juが「運」のJiと似ていて、オメデタイ
- 漢字で書くと桔子となるが、吉の字が入っていて、オメデタイ
そんなオメデタイ、オレンジを2つ(偶数)訪問先に持って行き、家長に渡します。帰りには逆に訪問先の家からオレンジを2つ貰います。
運を回すということらしいです。
他の柑橘類も人気
縁起の良いオレンジは、交換用のマンダリンオレンジだけではなく、他の種類も人気です。
一つは、年桔。
これは鉢植えのキンカンです。旧正月には日本の門松のように、入り口に対で置かれています。
もう一つはザボン。シンガポールではポメロ(Pomelo)と呼ばれています。
大きな方がより福が舞い込みそうってことでしょうか。
結局、オレンジ売り場に置いてある小さな袋は訪問先へ持参するためのものでした。
「オレンジ」を入れる袋の模様は「パイナップル」・・で、ここは何としても幸運を掴むのだ!という強い意志を感じるのでした。
旧正月にやること
果物以外にも、旧正月の風習はいろいろあるようで。
- 紅包(アンパオ) 赤い袋に入ったお年玉
子供と独身の人に渡します。 新札を偶数額になるように赤いポチ袋に用意しておきます。
新札を準備するため、この時期、いつもなら銀行窓口が混むようですが、今年はオンライン振り込みだったり、銀行訪問も予約制にしたりと様子が変わって来ているようです。
- 魚生(ユーシェン) 刺身のサラダ
「ローヘイ」と言いながら、みんなで刺身サラダをお箸で高く持ち上げるという、謎の行為が行われるようです。(「シェン」という単語には増加の意味があり、より豊かになるように、という願いを込めて行うらしいです)
これら以外にも、白と黒の服ではなく、赤と金の服を着るとか、旧正月の元旦は刃物は使わないとか・・。
ところ変わればで、これまで聞いた事のない過ごし方が一般的です。
旧正月の過ごし方(注意点)
フェーズ3へ移行して、ひと月。
市中でのコミュニティー内での感染が発生していることもあり、旧正月の人の交流が多くなる前に注意喚起を含め、シンガポール保健省(MOH)が管理の強化内容についてアナウンスしています。
- 家庭への訪問者の受け入れは1日に8名まで
- 1日に訪問可能な家庭は2つまで
- 会食中も、飲食以外の時はマスクを着用
- ユーシェンをする時にはフェイスマスクを着用し、「ローヘイ」と口には出さずに心の中で唱える(?)
- 同一世帯以外の複数テーブルの予約は禁止
- 同一世帯であっても、テーブル間の行き来はしない
ワクチン接種についても、今月末よりパイロット地域での高齢者への接種が始まります。2月中旬からは、全ての高齢者を対象とする接種が、予定されています。
コロナ禍で迎える旧正月、家族で静かに・・となるのでしょうか!?
後日談 → シンガポールの旧正月準備はラストスパート
旧正月当日 → コロナ禍 シンガポールの旧正月初日は・・静かです