ベーグルが、白っぽくなってしまいました。
途中の「茹でる」工程で、レシピに書かれていた「モルトエキス」を入れなかったんです。
実は、モルトエキスの糖(麦芽)はパンに焼き色をつける重要な役割があったんです。
焼き色だけでなく、糖にはパンに様々な影響を与える要素があります。
ベーグルの焼き色に問題あり!
先日ベーグルを作った時です。
パンに焼き色があまりついていないな〜
予定の時間焼いたのですが、ベーグルのイメージのあの茶色いツルツルになっていないのです。
これ以上焼き時間を伸ばすのはダメだと判断、オーブンから取り出すことに。
白い
実は、材料が無いからと、レシピ通りにしなかった所が1カ所あるんです。
茹で湯にモルトエキスを入れなかった!
ベーグルの特徴と言えば、焼く前に「生地を茹でる」こと!
その茹で湯に、レシピではモルトエキス(*)を入れるとなっていたのですが、家に無いからと、単なるお湯で茹でたのでした・・・。
*モルトエキスは大麦麦芽エキス
モルトに入っている酵素、アミラーゼがデンプンを分解し麦芽糖を作ります
後で、ネットの他のレシピを見ると、モルトエキスではなく砂糖や蜂蜜を加えていました。
ここでやっと、
あ、やっちゃったな〜
と気づいたわけです。
焼き色がつかなかったのは、モルトエキスを入れなかったことが原因でした。
麦芽糖そして、砂糖や蜂蜜などの糖が、どのようにパンの焼き色と関係しているのでしょうか。
砂糖がパンに与える影響とは
パン作りにおける砂糖の役割って、実はいろいろあるのです。
- パンに甘味を与える
- 焼いた時の色付きを良くし香ばしさを出す
- イーストの栄養となる(よく膨らむ)
- パンの持ちが良くなる
パンに甘味を与える
これは、言わずもがなの、味覚に影響する部分です。
一般的なパンの、粉の分量に対する砂糖配合率はこのようになっています。
パンの種類 |
砂糖の配合量 |
フランスパン |
0% |
食パン |
5~8% |
バターロール |
12%前後 |
菓子パン |
20%前後 |
食事と一緒に食べるパン程、砂糖の量は少なく、菓子パンにはかなりの量の砂糖が含まれています。
焼いた時の色付きを良くし香ばしさを出す
パンに美味しそうな焼き色が付くのは、砂糖のおかげです。
砂糖が入った生地に熱が加わることで、化学反応が起こり焼き色が付きます。
150°C前後 メイラード反応
生地中に存在するアミノ化合物と糖が加熱により反応し、メラノイジンと呼ばれる褐色の色素を合成します。
160°C前後 カラメル化
生地表皮に存在する糖のカラメル化(炭化)が始まります
180°C前後まで温度が上昇するとコゲとなり、さらに加熱すると真っ黒な炭となります。
砂糖の入らないフランスパン。
焼き色の為に、モルトエキスを少量加えています。また、焼成の温度も非常に高い温度となっているのです。
イーストの栄養となる
イーストは生地の中にある糖分を栄養として、炭酸ガスやアルコール、有機酸(香味成分)を生成します。
このガスが、生地の中のグルテンを膜としてパンを膨らませます。
砂糖が配合された生地の方が、発酵がスムーズにできるわけです。
ただし、量を多くするのは逆効果。
イーストの細胞膜に浸透圧が生じ、細胞が破壊されイーストの活動力は低下、パンが膨らみにくくなります。
砂糖を多く含むパンや菓子でイーストを利用する場合、使う量を多くしたり、耐糖性のあるイーストを利用したりと、膨らませるための対応がなされています。
パンの持ちが良くなる
砂糖には、「親水性」という性質があります。
- 脱水性:周りの水分を抱え込む
- 保水性:抱え込んだ水分を保持する
この二つです。
この性質が、パン劣化の原因となる乾燥に良い影響を与え、日持ちの良さにつながります。
砂糖がパンに与える影響は、様々な範囲に及びます。
それだけに、砂糖を加えることで、パンのバリエーションも広がります。
私のベーグルの失敗は、砂糖の役割2. を省いてしまったことにありました。
使ったレシピに載っていたモルトエキスは、含まれている麦芽糖で、色付けの役割を果たす予定だったのです。
失敗した後で、その重要性に気づくという・・。
次回ベーグルを作る時には、蜂蜜で代用しようと硬く心に誓っているのです。