シンガポールの新型コロナの状況が、なかなか改善しません。
そんな中、10月9日にリー首相が会見を行いました。
“Living with COVID-19 コロナと共に生きる”
ゼロコロナを目指して戦ってきましたが、これからは、これが新しい常識です。
シンガポールの新型コロナの現状(2021年10月10日)
日本の新型コロナ感染状況は、8月20日の新規感染者数 25,871人をピークに、現在まで減少が続いています。
10月10日の新規感染者数は 551人。
重症者数も減少しています。
一方、シンガポールはと言うと。
人口の8割以上が2度の新型コロナワクチン接種を済ませており、さらに9月27日からは行動規制も強化されているにもかかわらず、1日の感染者数は 3,000人を連日超過しています。
大幅な増加は食い止められているものの、減少に転じる様子はまだありません。
ちなみにICUに入っている人は10月9日時点で 40人。
それほど多く無いとも感じられますが、9月半ばまでは一桁だったことを考えると、やはり心配な数字です。
行動規制の方は、過去投稿の通り、
外食、街中での行動、タクシーも全て2人までが一緒に行動する上限人数。
そして、仕事は基本在宅。
この規制は、9月27日〜10月25日までの予定で、現在その期間が半分ほど過ぎたところです。
10月9日正午 リー首相が新型コロナの状況について会見
行動規制の強化を開始する時から、二週間後に振り返りを行うことが予定されていました。
ちょうどそのタイミングです。
リー・シェンロン首相の会見の他、新型コロナ対策タスクフォースチーム(複数のシンガポール政府行政機関で構成)からも、具体的な話がありました。
CNAの記事からの抜粋です。
‘New normal’: 7 ways Singapore is moving towards living with COVID-19
- ワクチン未接種者は外食禁止。(10月13日から)
これまではホーカーセンター(屋台街)などでは許可されていたものの、それも禁止に。
さらに、ショッピングモールへの入場も禁止されることとなりました・・。
(12才以下、有効なPCR陰性証明保有者などは、これには含まれない) - 濃厚接触者の隔離命令は警告へ(10月11日から)
MOH(保健省)よりHRW(健康リスク警告:health risk warning)のワーニングが届いた後、7日間毎日、ART(Antigen Rapid Test:抗原迅速検査)結果をMOHへ連絡。結果が陰性ならその日の外出はOK。
陽性となった場合、72時間隔離し、再度ARTを実施。陰性が出れば外出OK。 - PCR検査は無症状者には行わない
代用は、自分で実施できて、結果もすぐ分かるART検査。 - 自宅療養者の対象を拡大(10月10日から)
以下の条件以外は基本自宅療養。
・50歳以上のワクチン未接種者
・80歳以上のワクチン接種者
・1歳未満の乳児など
隔離期間:ワクチン接種者と12歳以下の子供は10日間、12才以上のワクチン未接種は14日間。 - 12歳以下の子供へのワクチン接種を検討中
アメリカの事例を注視しており、来年の初めからの開始を検討中。 - ブースターショットの対象者拡大
30才以上を対象とする。 - ニューノーマルな生活への移行にかかる期間はおよそ3ヶ月〜6ヶ月
これまで、国任せだった事を、自己責任で行っていきます。
こちらも参考にしました。
The Straits Times:
10 things you need to know about PM Lee’s address and Covid-19 measures
ワクチンと高齢者がキーワード
MOH(保健省)が毎日出している、新型コロナ感染者推移のデータです。(10月9日)
【感染者のワクチン接種状況】
ピンク:ワクチン二回接種未済 ブルー:ワクチン二回接種済
上段:入院者数 中断:酸素吸入 下段:ICU入院者
人口の2割にも満たないワクチン未接種者が、重症者(酸素吸入・ICU)の半数以上を占めている
【感染者状況別の年齢分類】
上から順に:入院者数、酸素吸入者数、ICU数、死亡者数
重症者と死亡者で見ると、8割以上が高齢者(61才以上:薄いグレーと濃いグレー)
以下の二つは、実際の数字からも見て取れます。
- ワクチン未接種の方が感染率は高い
- 重篤化するのはほぼ高齢者
シンガポール政府は、ブースターショット(3回目)を含む、ワクチン接種への促しにも引き続き力を入れています。
高齢のワクチン未接種者を減らすことで、ICUに余裕を持たせ、経験豊かな看護スタッフの確保も可能となるのです。
同時に、重症化がほとんど発生していない若者については、ワクチン接種者であれば、これまでの様なキャンパス内での自由な交流も復活させたいと考えているようです。
年齢やワクチン接種有無での行動差別化は、今の時点ではさらに広がることも想定されてしまいます・・。
国境は徐々にオープン
引き締めばかりではなく、前進していることもあります。
国境については、徐々に開放していく方針です。
現在のところ、11か国と隔離なしの出入国が可能となる予定が有ります。
開始時 |
国 |
実施中 |
ブルネイ、ドイツ |
10月19日 |
アメリカ、カナダ、デンマーク、フランス、イタリア、オランダ、スペイン、イギリス |
11月15日 |
韓国 |
それでも、
- ワクチン接種済
- 出発前、到着後のPCR検査結果は陰性
- フライトは航空会社により指定された便のみ利用可
- 入国に際してはシンガポール政府の許可が必要
など、条件も多く、以前のような気軽な旅をするには、まだまだ時間が必要なようです。
ART(抗原迅速検査)キットが再び届きます
自宅で、新型コロナ感染確認が行える、ARTキットがもらえます。
9月にも、ARTキットを受け取りましたが、追加での配布となります。
これで、全世帯への配布は2度目。
10月22日以降、順次SingPostから届けられます。
配布は、各家庭に10セットです。
シンガポール政府は、当初、ゼロコロナを目指していましたが、デルタ株の出現により、それは難しい状況になってしまいました。
そこで、6月に、ニューノーマルな生活への、新たな道筋を提示しました。
今回、この道筋に添って着実に、進められているのだなということがわかりました。
10月1日から利用可能となった「コロナ感染者マップ」。
このような表示でみることができます。
直近3日間に発生した、感染者の分布を確認できます。
シンガポール保健省
(From:MOH 色が濃いと感染者数が多い)
出かける前に確認を。