1世帯当たり、S$100(1万円弱)のバウチャー(クーポン)配布が始まりました。
日本でも、18歳以下への10万円給付が話題ですが、シンガポールでのバウチャー配布は、かなり今時な感じです。
その名は、デジタルバウチャー。
配布対象は、シンガポール人の世帯なので、私は対象外なのですけれど、とてもスマートに感じています。
18歳以下への10万円給付@日本
日本では、18歳以下への10万円相当の給付が、11月に決まり、ネットニュースでも、毎日その話題が出ています。
でも、配布の具体的なことについては、まだ揉めていますね。
配布対象を決めるのに時間がかかり、
所得制限額が世帯所得なのかの議論が起こり、
現金支給かクーポンなのか
で議論は紛糾。
クーポン配布にすると、諸経費が900億以上になるとか。
この10万円が配布される目的も、

よく分からないなぁ
と、思ったりして見ています。
(Photo:時事通信 12/13)
1世帯100シンガポールドル(1万円弱)@シンガポール
シンガポールでは、新型コロナで影響を受けている企業や、個人に対し、給与補填などを含めた、支援策を行っています。
(日本のGo To トラベルやGo To Eatに似ています。)
それに加え、個人に対しバウチャー(クーポン)を配布することで、困っている企業を助ける施策も行っています。
2020年の秋にも、観光業を助けるために、国民一人当たり100シンガポールドル(1万円弱)のバウチャーがオンラインで配布されました。
そのバウチャーは、国内のホテル宿泊やアトラクション入場料やツアーなどで利用できるものでした。
2021年の今回は、シンガポール人の1世帯につき100シンガポールドルのバウチャーがオンラインで配布されます。
その総額、1.3億シンガポールドル(100億以上)。
利用可能な場所は、ホーカーセンター(屋台街)や商店です。
1.3 Million Singaporean Households to receive $100 CDC vouchers
今回の配布目的です。
- To thank Singaporeans for their sense of solidarity during the pandemic
(コロナ禍のシンガポール人の連帯感への感謝) - To support our hawkers and heartland merchants affected by the pandemic
(コロナで打撃を受けたホーカーセンターや商店への支援)
日本の10万円支給と異なり、配布目的をわかりやすく明示、利用できる場所も目的通りです。
デジタルバウチャーでの配布
今回、シンガポールで配布されるバウチャーはデジタルバウチャー。
バウチャーの配布はオンラインで行われ、バウチャーの提示を受ける店舗側も読み取りアプリを準備することで、集計作業の手間を省くようになっています。
前回(2020年)のバウチャー配布で、集計の手間問題が発生したことで、今回はその問題点を解消する仕組みを作り、詳細が発表されました。
実際の、この配布に関する政府の対応フローです。
2月 |
2021年のコロナ家計支援を発表(今回の配布はこの中の一部) |
2 – 10月 |
具体的な仕組み作りや、アプリ開発などの準備 |
10月 |
バウチャー配布をアナウンス |
10 – 12月 |
店舗が利用する、読み取りアプリのダウンロードや操作方法レクチャー |
12月13日 |
利用者へのデジタルバウチャー配布開始 |
2022年末 |
バウチャー使用期限 |
このデジタルの仕組みを確立したことで、お店側の煩雑な作業を無くし、お金をすぐに手にすることが可能になるはずです。
日本で、10万円配布をクーポン券にするしないの話題をみてしまうと、シンガポールの政策のスマートさをより感じてしまうのです。
バウチャー受け取り方法
各世帯でのバウチャー受け取り方法は、とても簡単です。
- QRコードを読み取り、シンガポール政府の地域開発協議会(CDC)へアクセス
- Singpass(マイナンバーみたいなもの)でログイン
- CDCから、バウチャーのリンクがSMSで送られてくる
お店で利用する方法
- リンクを開き、使用金額を入力しQRコードを表示
- お店側のアプリで読み取り
政府からの受け取りは、1世帯につき100ドルを1人の人が行います。
世帯間で、この金額をシェアする機能もあります。
そして、バウチャー の利用追跡も可能になっているようです。
バウチャーの受け取り方がわからない人へのサポート
スマホを持って無い人や、受け取り方が分からない人へのサポートについても、アナウンスがありました。
CC(コミュニティクラブ:公民館のようなもの)や図書館に行けば、対応してもらえます。
それらの場所には、デジタルサポーターと言われる人が派遣されており、高齢者などへの操作方法のレクチャーや、スマホを持たない人への対応もしてくれます。
この発表は、バウチャーの配布開始のアナウンスと同じタイミングで行われ、文句や不満の声が大きく出ることは無いようです。
全ての人にとって満足がいくことを考えるのは不可能なので、このように、例外にも配慮したアナウンスがあると、聞かされる側にとっては安心感があります。
そんなところも、日本と違うような気がしています。
このような対応が可能なのも、マイナンバーのような個人を識別するID番号での管理(Singpass)が、徹底されているからだと思います。
何かある時に、驚くほど迅速に事が進む様子を見ると、

日本のマイナンバーはどうなっているのかしら!?
とちょっと気になったりします。
日本のマイナンバー、閣議決定は2013年。
そろそろ10年です・・。