SWIFTからロシアを排除! 決済の現場で行われていることは?

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本日は、ロシアに対する経済制裁の話に関連することを投稿しようと思います。

SWIFTからロシアを排除

2月26日に、米国、英国、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、欧州委員会(EC)は、SWIFT(国際的な決済ネットワーク)から、ロシアの主要金融機関などを締め出す経済制裁を与えることに合意したと、発表しました。

その翌日には、日本の岸田首相も「欧米からの参加要請があり、日本も加わることにした」と発表しています。

今回、ロシアが新たな制裁国となるわけですが、実はロシア以外にも、以前よりSWIFTから排除(制裁)対象となっている国、会社、人は沢山あります。

米国のOFAC規制

以前働いていたIT会社で携わっていた仕事は、国際決済システム(SWIFTと接続するシステム)でした。
その同じ部署で、米国OFAC規制対応のシステム導入もやっていたのです。

 

米国OFACとは、アメリカの Office of Foreign Assets Control の略で、日本語に訳すと、財務省外国資産管理室

 

三菱UFJ銀行のサイトによると

米国のOFACは、外交政策・安全保障上の目的から、米国が指定した国・地域や特定の個人・団体などについて、取引禁止や資産凍結などの措置を講じており、そうした規制はOFAC規制と呼ばれています。

米国の規制なので、米ドル決済に規制が適用されますが、世界の為替決済のうち、4割を占めるのが米ドルと言われています。
日本の金融機関でも、米ドル取引を取り扱う場合、OFAC規制を遵守する必要があります。

 

今回のSWIFTからのロシア排除は、米ドル取引だけでなく、欧州圏の通貨そして日本円と、取引通貨割合で言えば、約80%程度の決済の中から、ロシアに関連する取引は行わないことを意味しています。

 

OFACに話を戻せば、これまでも、この規制対象となる国や人物は常にあり、昔でいえば、アメリカ同時多発テロの首謀者、ビンラディンなどは、この規制対象だったわけで、現在も、イランやキューバ、北朝鮮などは米ドルでの取引が規制されているのです。

規制対象については、OFACからSDN(Specially Designated Nationals and blocked Persons)リストが提供されます。(リスト内容の検索も可能です)

金融機関で行われていること

みずほ銀行のサイトに、OFAC規制違反の取引事例が出ていました。

(図:みずほ)

 

事例は他にもあるのですが、要は、実行する為替取引の関係者の中に、OFAC規制に抵触する内容が含まれていないかです。(サンプルはイランのエンドユーザーとの取引がNGの例)

 

規制に抵触する内容を探し出すため、金融機関は全ての取引をチェックする必要があると言うことです。

何百何千とある規制先を、人の力だけで全ての取引においてチェックする事は、到底不可能。
そこで、チェックシステムが導入されたわけです。

このチェックは、SWIFT経由で支払いまたは入金指図の電文を発信する前に実施されます。

日本にもOFAC規制に引っかかる人や会社はある?

OFACのSDNリストに、日本に関連する企業や人がいるのか、検索してみました。
すると、SDNリストに23件の登録が出てきました。

(Data:OFAC SDN)

見ると、日本橋に住所があるキューバの銀行、山口組、指定暴力団住吉会の会長などが登録されていました。

 

OFACが、世界中から米国にとっての危険因子を調べ上げて登録していると思うと、アメリカの情報網はやはりすごいと思わされます。

 

今回のロシアに対するOFACのプレスリリースです。

ロシア金融機関トップ10が米国の規制対象となる事、プーチン大統領のみならず、ロシア連邦のセルゲイ・ショイグ国防相、ロシア軍参謀総長、陸軍大将のヴァレリー・ゲラシモフについても米国内にある資産の凍結措置が取られることなどが記載されています。

今回は、米ドルだけでなく、欧州通貨そして日本円も対象となるので、金融機関は対応に追われている事でしょう。

 

金融市場では混乱が続いていますね。

ロシアの通貨ルーブルが過去最安値
ロシア中銀は、インフレ率上昇に対応する為、政策金利を9.8%から20%へと、大幅に引き上げました。

(Data:tradingview 対米ドルロシアルーブル:ルーブルは過去最安値へ)

 

(Data:tradingview ロシア10年債:金利は急上昇13%弱)

 

(Data:tradingview ロシア政策金利:20% 2/28)

 

どのチャートも直近の変化が大きすぎて、恐ろしいです。

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