8月9日は、シンガポール56回目のナショナルデー(独立記念日)。
去年は、コロナの影響でマリーナベイでのパレードは中止。
そして今年。
例年より規模が縮小されたり、スケジュールがイレギュラーとなったものの、ナショナルデーのイベントが行われました。

2021年ナショナルデーパレードは異例のスケジュール

今年のナショナルデーパレード(NDP:National Day Parade)は、マリーナベイでやるんだって。
例年、8月9日のシンガポールの独立記念日には、大きな会場でイベントが行われるそうです。
2020年は、コロナの影響で、そのパレードは中止(代わりに、シンガポール軍の車両が、島内の各所を戦車とともに周りました)。
さて、今年は。
当初の予定では8月9日、独立記念日の当日にマリーナベイでのパレード、前夜には花火など、例年に比べ規模は縮小するものの、同等の内容でのNDPが予定されていました。
ところが、7月にカラオケと漁港のコロナクラスターが発生し、厳しい行動規制が敷かれました。
その結果、
- 8月9日 式典のパレード
- 8月21日 マリーナベイでのナショナルデーパレード
- 8月29日 首相の国政演説
と、スケジュールが変更され、同時にNDP前夜の花火などは中止となりました。
それでも、2年ぶりにマリーナベイでのパレードが行われるということで、準備は入念に進められていました。
迎えた当日。
全てのイベントはTVやインターネットで、ライブ中継されました。
8月9日 式典のパレード
8月9日、独立記念日当日です。
マリーナベイで式典が行われました。
コロナにより、厳しい行動規制期間中だったため、一般の見学はありません。
もちろん私も、自宅でYouTubeです。
シンガポールの陸・海・空軍に警察と、600名がパレードに参加したそうです(それでも、例年の3分の1)。
(Photo:The Strait Times)
式典は、
- 軍の音楽隊による、NDPのテーマソングや国歌の演奏
- チヌークヘリが国旗を運び
- F15戦闘機が頭上を飛行
- 大砲の発射に、守備隊の銃発射
と、軍事関係の儀式が行われました。
整然と足並みをそろえる部隊は、格調高い雰囲気が漂っています(皆マスク)。
(Photo:The Straits Times F15戦闘機)
その後、国旗を運ぶヘリとF15戦闘機は市内の決まったルート(前日に発表されました)を通ります。
(Photo:CNA)
我が家の窓からは、見えませんでしたが、F15の「ゴー」という爆音だけは聞こえました。
8月21日 マリーナベイでのナショナルデーパレード
NDP(National Day Parade)は、8月21日に開催されました。
シンガポールのコロナの行動規制が一部解除され、ワクチン接種者が人口の7割を超えたタイミングでした。
こちらも、式典同様一般の人は参加できず(コロナ禍で最前線で働く人が招待者)、YouTubeです。
歌やダンスが披露される中、8月9日に行われた式典のパレードも、再度、行われました。
アパッチ機やF15戦闘機の飛行もあり、この日は会場へ向かう?F15戦闘機が家から見えたのですが、スマホを操作している間にあっという間に通過、撮れたのはかなり遠ざかった後、まるでハエ・・・。(時速600k以上)
その写真は、自主規制です(笑)。
軍に関することでは、「Red Lions(レッドライオン)」と呼ばれる、シンガポール軍パラシュート部隊によるパレード会場への降下が行われました。
5名の隊員がはるか上空から次々と着陸する姿は・・ただ、ただ、クール!!
(Photo:CNA 5人が次々と会場に降り立ちました)
軍によるパフォーマンスの後は、映像と歌でまとめられていました。
今年のテーマは、「Together, Our Singapore Spirit」
(一致団結して、シンガポール魂で、困難を乗り越えて行こう!・・という感じです)。
アニメとなった実在する登場人物達と、それぞれに降りかかる困難。それを家族や周りの人と乗り越えてゆく様子が描かれます。
最後に、その本人や家族の現在の様子が映し出されます。
エンディングは、シンガポール国歌を歌い、盛大な花火が打ち上げられます。
(Photo:The Straits Times)
シンガポール国歌は、マレー語の「Majulah Singapura」 (マジュラー・シンガプーラ)。
進めシンガポールです。
まさに、今回のテーマでもあり、一体感に包まれていました。
東京2020オリンピック開会式に比べると、メッセージは明確でショーの内容にも一貫性がありました・・。
8月29日 首相の国政演説
NDPの一週間後は、首相の国政演説(NDR:National Day Rally ナショナルデーラリー)があります。
国の主要な課題や政策について、リー・シェンロン首相が演説します。
マレー語、中国語、英語の3ヶ国語で。
その姿は、驚きでした。
日本のリーダーとは、だいぶ様子が違う様で・・・
マレー語と中国語では20分弱、英語では1時間を超えての演説でした。
(Photo:Prime Minister’s Office Singapore)
内容は、今後のシンガポールの政策の方向性などを具体的に説明するものでした。
一部ですが書き出してみると・・、
- コロナ禍の保守姿勢から、経済活動再開に向けた舵きり
- 低賃金労働者への支援の拡充
- 外国人の就労パス発行基準をより厳しく
(シンガポール人の雇用不安を取り除くため) - シンガポールに中国人だからという特権は無い
(実際には、住居や職場で人種差別が存在するがみな平等であるべき) - 11月から、公的医療のイスラム教徒の看護師はヒジャブを着用して良い
(シンガポールではヒジャブではなく、マレー語のトゥドゥン:tudungと呼ぶのが一般的のよう)
例や具体的な対応策とともに、話をしていました。
Prime Minister’s Office Singapore
National Day Rally
シンガポールが多民族国家だということは、こちらに来て肌で感じたことですが、様々なものを許容する感じから、うまくまとまっているのかと思っていました。
でも、知らないところで、問題もあるのかと、改めて思ったのでした。
コロナについても、これを乗り越え、この先へ進もう。
そして次に未知の困難がやってきても、乗り越えようと。
テーマと違わず、受け入れやすい話でした。
(もちろん、ワクチンについてもお年寄りの積極的な接種を呼びかけていました。)
今月はナショナルデーの月ということで、至る所でシンガポールの国旗を見ているのですが、愛国心が湧いてくる気がします。
それもまた、多民族を一つにまとめる手法なのでしょう。

シンガポール政府ってすごいわ~。